慶應義塾大学、東京大学、国立成育医療研究センターのグループは、アンケート調査により、我が国のアレルギー領域における患者・市民参画(Patient and Public Involvement and Engagement:PPIE)の実態を明らかにした。

 近年、患者や市民が研究に主体的に参加するPPIEの取り組みが進められている。PPIEは、研究の双方向性を高めることで、研究の質や社会的妥当性の向上につながると期待されている。

 本研究では、日本におけるアレルギー領域のPPIEの現状を、がん・難病領域と比較することで明らかにした。全国の研究者および患者団体を対象にアンケート調査を実施した結果、アレルギー領域の患者団体は研究者との連携の必要性を強く認識し、50%が連携に関するルールを整備していた。一方、研究者側ではPPIEの重要性を認識している割合が低く、連携体制を整えているのは9.4%にとどまった。

 また、「PPIEの必要性」に関する認識にもギャップが見られた。PPIEを必要と考える患者団体は100%だったのに対し、アレルギー領域の研究者では50%にとどまり、がん・難病領域の研究者(64.7%)よりも低かった。

 研究者と患者団体の交流頻度にも差があった。アレルギー領域の患者団体の87.5%が研究者との接点を持つ一方で、研究者側で患者団体と接点を持つと回答したのは15.6%で、やはりがん・難病領域よりも低かった。

 PPIEを推進するためには、教育研修プログラムやコーディネーターの存在が共通のニーズとして挙げられた。PPIEに関連するデジタルツールの活用状況にも、アレルギー領域の患者団体(100%)と研究者(情報交換6.3%、意見収集15.6%)の間に大きな差があったことから、これらの整備の必要性が浮き彫りとなった。

 本研究成果は、患者・研究者双方への研修や、患者と研究者をつなぐコーディネーターの育成、デジタルツールやガイドライン整備を促進し、今後の患者中心の研究推進や医療政策立案に資するものと期待される。

論文情報:【Allergy】Exploring Patient and Public Involvement and Engagement in Allergy Research: Cross-Disease and Cross-Stakeholder Perspectives in Japan

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