貸与型奨学金を返済中の人の4割が結婚、3割が出産や子育て、持ち家の取得に影響していると感じていることが、労働者福祉中央協議会の全国調査で明らかになった。コロナ禍で返済が厳しくなった人は4人に1人を数え、労働者福祉中央協議会は改善の必要性があると指摘している。

 調査は2022年9月、インターネット調査会社のモニターを対象にウェブ方式で実施、2,200人のデータを集計した。調査対象者のプロフィールは正社員・職員が5割強、非正規社員・職員が4割弱、フリーランスなどが2%程度を占めた。

 それによると、学生時代に日本学生支援機構の貸与型奨学金を受けた人のうち、給付型奨学金を受給したのはわずか2%で、49.4%が無利子の貸与型、61.4%が有利子の貸与型を給付されていた。返済中の人のうち、12.0%が返還猶予制度を利用し、2.3%が延滞中だった。平均借入額は310万円に上る。

 返済の負担感が「余裕がある」と答えたのは9.6%にとどまり、「何とかなっている」が45.9%、「苦しい」が44.5%に達した。新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べると、26.0%が「苦しくなった」と答えている。

 生活設計に対する奨学金返済の影響では、「返済が結婚に影響している」が37.5%に達したほか、出産に31.1%、子育てに31.8%、持ち家の取得に32.8%が「影響がある」と回答した。貸与型奨学金を利用して高等教育を受けたことに対して、25.3%が不満を抱えている。

参考:【労働者福祉中央協議会】奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書速報版 調査結果のポイント

大学ジャーナルオンライン編集部

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