学習院大学と近畿大学の共同グループの研究により、居住都道府県および近隣都道府県における「大学定員」の増加が、その地域の「大学進学率」を押し上げることが明らかになった。この効果はすべての家庭に均等に現れるわけではなく、親の学歴が高い(短大・高専以上)家庭の子どもほど、「大学進学確率」がより大きく上昇する傾向がみられることも分かった。
大学は東京などの大都市圏に偏在しており、これらの地域で「大学進学率」が高い傾向があることから、「大学立地の偏在」が格差の要因の一つと考えられてきた。しかし、「大学定員」の増加が実際に「大学進学率」の上昇につながるのか、どのような人がより「大学定員」の増加に反応して進学しやすくなるのか、という因果関係については、これまで十分に検証されていなかった。
そこで本研究では、複数の社会調査をもとに、1942~1996年度生まれ(1960~2014年度に高校卒業相当)のデータを構築し、都道府県ごとの「大学定員」(人口あたりの大学定員供給量)の変化が「大学進学率」に与える影響を分析した。
その結果、居住周辺地域における「大学定員」が増加すると「大学進学率」は上昇するが、親の学歴が高い(短大・高専以上)家庭の子どもほど、「大学進学率」がより大きく上昇する傾向がみられた。これにより、「大学定員」の偏在が解消された場合でも、出身階層間の不平等は解消されず、むしろ拡大する可能性も示唆された。
本研究は、教育機会の不平等を是正するためには、地域間格差是正への対応に加え、出身階層間格差の是正にも配慮した、別の政策が必要であることを示している。今後は、市区町村などのより細かな地域単位での分析のほか、学校種別(国公立)や学部学科による違いについても分析を進めるとしている。
