奈良先端科学技術大学院大学の研究グループは、全ゲノム(遺伝情報)や遺伝子発現の網羅的な解析手法により、アスパラガスの雌雄を決める性決定遺伝子を世界で初めて発見した。今回の成果は、基礎生物学研究所、徳島大学、東北大学、九州大学、東京大学との共同研究による。

 アスパラガスはほ乳類と同様、XY型の性染色体を持ちXYで雄株、XXで雌株になる。雄株と雌株では花以外に形態差がほとんどなく、Y染色体上に性決定遺伝子がコードされていると考えられてきたが、その実体は不明だった。

 今回、高速シーケンサー(DNA解析装置)を用いて、雄株だけで発現している遺伝子を探した結果、転写因子をコードする遺伝子(MSE1と命名)を有するのは雄株のみで、Y染色体上にあることが分かった。また、MSE1遺伝子は花の発達初期におしべでのみ発現・機能していることも判明。ゲノム編集技術を用いて検討した結果、Y染色体にコードされているMSE1遺伝子が花の発達中におしべで発現して、正常なおしべを発達させることにより、雄花を形成させていることが示された。

 また、全ゲノム解析によりX染色体にもMSE1遺伝子の存在が判明したが、遺伝子としての機能は失っていた。これはアスパラガスの祖先が雌雄をあわせ持つ両性花であったが、おしべの発達に必要なMSE1遺伝子が変異による機能喪失によりX染色体になったことを示す。機能正常なMSE1遺伝子を持つ染色体はY染色体になり、雄と雌が誕生したものという。

 今回の研究は、植物の雌雄は両性花から進化したと予想していたダーウインの進化説を初めて実証したものだ。今後、両性花と雌雄とを人為的に変換する技術の開発など、植物の育種に役立つことが期待される。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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