大阪大学の橋本亮太准教授と情報通信研究機構の下川哲也主任研究員らのグループは脳の活動を画像化することで統合失調症患者の脳に見られる特徴を見出すことに成功しました。これまで困難とされていた客観的な診断が可能になるかもしれません。

統合失調症は100人に1人の割合で発症する精神障害です。幻覚や妄想、意欲低下などが認められ、再発や慢性化することが多いとされています。現在は医師が患者の自己申告や症状をもとに診断しています。そのため客観的な測定にもとづく診断方法の確立が望まれていました。そこで着目したのがfMRIという方法です。fMRIは脳内の血流を調べることで脳の活動を調べることができます。これまでにも個人の脳活動は測定されてきました。まず脳の各部位の活動の状態を測定します。さらにそれらが連携する様子をたどることで脳全体の活動の様子を明らかにしてきました。しかし精神障害の患者など、集団を解析したという例はありませんでした。個人間の脳活動にばらつきが大きすぎるため、集団に共通する特徴を見出すことが困難だったからです。

今回の研究では個人ごとに脳の活動を分析することはせず、36名から37名の患者集団の脳活動を一度に解析する方法を考案しました。この方法では個人のばらつきが出ることがありません。同様に測定した健常者集団の脳活動と見比べることで、患者集団と健常者集団との明確な違いを見出すことができました。また、別の患者集団に対して同様の解析を行ったところ、最初のグループと同じ特徴が現れたのです。これは患者集団をどのように選んでも同じ特徴が現れることを示唆しています。

今後は実際の医療現場で医師の診断を補助する自動診断システムの確立を目指していくとしています。こうした検査方法の有効性が実装されれば、個人レベルでは特徴を見出すことが困難な別の症状の診断方法の開発にもつながるかもしません。

出典:【情報通信研究機構】ネットワーク理論に基づいた新しい統合失調症の解析手法を開発

大阪大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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