九州大学大学院工学研究院機械工学部門の小山元道助教、野口博司教授、津﨑兼彰教授の研究グループは3月10日、動物の骨のような粘りのある壊れ方で亀裂伝播が抑えられて疲労寿命が格段に延びる、画期的な疲労特性を示す鉄鋼を見出したと発表した。

 金属が疲労して破壊にいたる金属疲労破壊では、一度に加える力は小さくても何度も繰り返すことで材料の表面に微小な亀裂が発生し、それが拡大伝播して次第に大きく広がり破壊にいたる。この金属の特性を正しく理解し評価することは、機器や機械類の破壊事故を防ぐうえで非常に重要である。

 研究グループは、疲労亀裂の発生と伝播を抑えるために、亀裂先端部分での局所的な力学状態と金属ミクロ構造の関係に着目した。そして、層状形態を要素に含む階層性原子集団の金属ミクロ構造によって動物の骨のような粘りのある壊れ方をするため、亀裂伝播が抑えられて疲労寿命が延びる、画期的な疲労特性を示す鉄鋼を見出した。

 この成果は、応用面や実用面での貢献はもちろん、疲労などの力学特性に優れた金属材料の開発に貢献する金属物理学と力学状態を解析する破壊力学の両方にとって新展開をもたらすと期待されるとしている。

大学ジャーナルオンライン編集部

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