大阪大学の真島和志教授、産業技術総合研究所触媒化学融合研究センターの佐藤一彦研究センター長らのグループは安価なニッケルから高性能触媒を作ることに成功しました。高価な触媒を用いて作られている医薬品などの製造コストを削減することにつながるかもしれません。

 医薬品、合成繊維、プラスチックなど身近なところで様々な有機化合物が使われています。有機合成で最も重要なのは骨格となる炭素原子の鎖を自由自在につなぎ合わせていく事です。この炭素原子の間の化学結合を作るのに触媒の働きが欠かせません。これまで様々な触媒が開発されてきましたが、その多くはパラジウムなどの希少で高価な金属から作られるものでした。製品のコストが膨らむ原因にもなっており、安価な金属から作られる触媒の実現が望まれています。

 鉄やニッケルは安価な触媒の候補となる金属です。ところが貴金属に比べて触媒としての性能が低いという難点がありました。真島教授らはニッケル化合物とケイ素を含んだ有機物を反応させることで15nm(1ナノメートル=0.000000001m)程度のニッケル粒子が形成されることを発見しました。さらにこの粒子を詳しく調べると金属結晶とは異なる原子の並び(非晶質)になっていることを突き止めました。そしてこの非晶質のニッケルナノ粒子を有機合成の触媒として作用させたところ、非常に高い性能を示したのです。。これは貴金属から作られた触媒をはるかに凌ぐ性能です。触媒として働くのはナノ粒子から放出されたニッケル原子であることが分かっていますが、さらに詳しい検討を進めたところ非晶質の粒子は原子を放出したり再び取り込んだりする作用があり、触媒の貯蔵庫として機能していることも分かりました。

 今後はこの触媒を実際の有機合成で必要な種々の化学反応に応用するために研究を進めていくとしています。実現すれば医薬品などの身近に使われている製品の製造コストを大きく下げられるとともに、貴金属の利用による環境への負担も軽減できると期待できます。

大阪大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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