京都大学iPS細胞研究所と大手医薬品メーカーの武田薬品工業(大阪市中央区、クリストフ・ウェバー社長)は、iPS細胞技術の臨床応用に向け、共同研究を始めました。対象となる疾患はがん、心不全、糖尿病、難治性筋疾患など6つで、iPS細胞技術の応用がこれら疾患を克服する可能性があるとして、各方面から大きな注目を集めそうです。

 武田薬品によると、共同研究では神経堤細胞(※)の研究、iPS細胞を使った筋萎縮性側索硬化症の研究、1型糖尿病に対する再生医療開発と2型糖尿病に対する創薬研究、再生免疫細胞を利用した新しいがん免疫療法の開発、iPS細胞を利用した難治性筋疾患治療薬の研究、iPS細胞を用いた心疾患創薬プラットフォームの開発と心不全の新規治療開発への応用研究という6つのプロジェクトが同時進行しています。

 共同研究には武田薬品が10年間で200億円の提携費用を提供します。武田薬品の湘南研究所を拠点とし、京大iPS細胞研究所と武田薬品から計60人の研究者がプロジェクトに従事しています。さらに、新たな実験室の準備が整う2016年4月からは、追加のプロジェクトがスタートし、計100人を超す研究者で10件以上のプロジェクトを推進する計画です。

 iPS細胞技術は医療の未来に画期的な変革をもたらす可能性を持ち、その応用が創薬研究、細胞治療、薬物安全性評価など多岐にわたると考えられています。京大iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授は「iPS細胞技術をもとに創薬、難治性疾患治療法の創出に新たなアプローチを開発したい」、武田薬品のウェバー社長は「この共同研究をきっかけに、細胞治療、遺伝子戦略を追求する製薬企業を目指したい」とコメントしました。

(※)神経堤細胞 脊椎動物の胚発生で出現する構造である神経堤から遊離する細胞集団を指し、頭部骨格系、角膜、末梢神経系、皮膚色素細胞など多様な細胞種への分化能を持つ。

京都大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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