九州大学先導物質化学研究所の永島英夫教授の研究チームは、工業用シリコーン製造用に白金を使わない安価な新触媒を開発しました。今後1年間かけ、化学メーカーの信越化学工業(東京、森俊三社長)と実用化に向けた検討を進めます。これまでシリコーンの製造には、高価で希少金属の白金を使わざるを得なかったため、産業界の注目を集めそうです。

 九州大学によると、工業用シリコーンの製造には、素材の分子結合を触媒で活性化させなければなりません。永島教授らはこの触媒に従来の白金に代え、鉄やコバルトのカルボン酸塩(※1)にイソシアニド(※2)と呼ばれる炭素、窒素の化合物を混合したものを開発、使用しました。

 その結果、白金触媒の10分の1程度の触媒活性を得られました。永島教授らは触媒や反応条件の最適化を進めれば、さらに活性向上が期待できるとみています。

 シリコーンはケイ素と酸素が交互に並んだ有機化合物。耐熱性、耐寒性、難燃性など優れた特徴を持つ素材として知られています。液状のシリコーンオイル、ゴム状のシリコーンゴム、プラスチックのシリコーン樹脂に加工され、建築材料から自動車、航空機の素材、電気、電子部品、化粧品、コンタクトレンズまで幅広く利用されています。しかし、白金は高価なうえ、産出量の少ない希少金属。燃料電池の普及時には、白金触媒の需要が大幅に増すと指摘され、白金に代わる新触媒の開発競争が世界で続いていました。研究成果は米化学会誌「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ」のオンライン速報版に掲載されました。

※1 カルボン酸塩 酢酸や蟻酸のような有機酸の総称
※2 イソシアニド 窒素と炭素の3重構造を持つ化合物で、容易に合成が可能

九州大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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