北海道大学大学院医学研究科の角家健特任助教は、カリフォルニア大学サンディエゴ校の Mark Tuszynski教授のグループ、ウィスコンシン大学の Su-Chun Zhang 教授のグループとの共同研究により、随意・巧緻運動に重要な皮質脊髄路という神経回路を脊髄損傷後に再生させ、麻痺していた上肢の巧緻運動機能の改善に成功したと発表した。本研究成果はNature Medicine誌に公開された。

 手指を使うような細かい動き(随意・巧緻運動)を司る神経回路を皮質脊髄路といい、大脳と脊髄の間をつないでいる。脊髄損傷後の運動麻痺の回復には、皮質脊髄路の再生が重要とされるが、これまで有効な再生方法はなかった。

 今回、ラットを用いて、脊髄由来の神経幹細胞を脊髄損傷部に移植し、神経の欠損部を新しい脊髄組織で再構成することで、皮質脊髄路が旺盛に再生することが判明した。ただし、脊髄以外の神経組織で再構成した場合には、皮質脊髄路は再生せず、再生してもその程度は乏しいことが示された。また、この手法で皮質脊髄路を再生させると、麻痺していたラットの上肢の巧緻運動機能が改善した。さらに、ヒトのiPS細胞から類似の神経幹細胞を作成してラットに移植した場合も、同様の皮質脊髄路の再生効果があることを確認した。

 今回の皮質脊髄路の再生方法開発は、中枢神経の再生メカニズムを解明する研究や新治療法の開発研究につながるとされる。また、神経幹細胞移植により脊髄損傷患者の運動機能改善が期待されるとしている。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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