東京大学分子細胞生物学研究所の秋山徹教授、山角祐介特任研究員、同医学部附属病院の佐々木欧助教らの研究グループは、気管支喘息を制御する新しい分子機構を発見、「Cell Reports」に発表した。

 気管支喘息とは、アレルゲンや感染などが引き金となって気道に慢性的な炎症をおこし、発作的な咳や呼吸困難をきたす病気で、患者数は世界中で3億人以上とも言われている。気道の炎症を抑える吸入ステロイドの投与によってほとんどの気管支喘息はコントロールできるようになった一方で、症状が重い場合は内服や点滴などでステロイド投与量を増やす必要があり、これには感染症や高血圧などのリスクが伴う。最近になって副作用の少ない分子標的薬が開発されたが、すべての患者に治療効果があるわけではない。

 気管支喘息の発症メカニズムについては研究がさかんに進められ、インターロイキン33(IL-33)というタンパク質が重要な役割を担うことが明らかになっている。しかしIL-33の量を制御するしくみに関しては不明点が多かった。

 RNA結合タンパク質であるMex-3Bの生理的機能について研究を進めていた同研究グループは、気管支喘息マウスモデルを用いて解析を実施。その結果、Mex-3BがIL-33の発現を促進し、気道炎症を広げていることを明らかにした。その制御機構を解析したところ、Mex-3BはIL-33mRNAに直接結合し、miRNAと呼ばれる小さなRNAの機能を阻害することでIL-33のタンパク質量を増やしていることも分かったという。

 さらにMex-3Bに対するアンチセンス核酸(標的となるRNAに結合し、その分解を促進する)の噴霧・吸入により気道でのMex-3Bの働きを抑えることで、気道炎症を抑制できることも発見した。

 本研究成果から、Mex-3Bを標的とした薬剤が気管支喘息の新治療薬となりうる可能性が示唆される。Mex-3B遺伝子を欠損させたマウスは発達も正常で、成体でも異常は認められないことから、副作用の少ない治療薬となりうることも期待されている。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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