2017年5月末に施行される改正個人情報保護法で本人の同意を得ずに第三者に情報提供できる匿名加工情報が設けられるのを前に、国立情報学研究所は匿名加工情報に関する技術的な検討結果をまとめた報告書を公開した。

 2015年9月に成立し、2017年5月末に施行される本年5月末に施行される改正個人情報保護法では、現行法にさまざまな変更や拡充がなされる。なかでも注目されているのが、個人情報に適切な加工を施すなど一定の要件のもと、本人の同意なしに第三者へ提供できる「匿名加工情報」だ。個人情報の保護と活用を両立した世界初の枠組みであり、基準や加工技術について新たな知見が求められている。

 国立情報学研究所によると、検討結果は大学教員、弁護士、民間企業研究員ら情報学の専門家10人で構成する「匿名加工情報に関する技術検討ワーキンググループ」(座長・佐藤一郎国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系教授)が、約70時間に及ぶ議論の末にまとめた。

 報告書は個人情報保護委員会の匿名加工情報に関するガイドラインを補完するものと位置づけられ、企業や団体が加工基準を作成する際の参考になる内容としている。
氏名や企業内の役職、生年月日など特定の個人を識別できる記述のほか、他の情報と照合できる購買履歴、経歴を削除するなど、個人情報保護委員会規則に即して加工方法や留意点を詳しく解説している。
企業、団体など認定個人情報保護団体は、匿名加工情報の作成方法などを個人情報保護指針に盛り込むことが求められている。

参考:【国立情報学研究所】匿名加工情報の適正な加工の方法に関する報告書を公表/NII「匿名加工情報に関する技術検討ワーキンググループ」

大学ジャーナルオンライン編集部

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