新卒就職戦線が売り手市場で推移する中、採用に遅れが見られる企業が増えていることが、企業の採用支援サイトを運営するアイデム(東京、椛山亮社長)の調査で明らかになった。学生の確保が例年より難しく、学生からすると明るさを増した就職戦線も、企業側から見ると厳しさが顔をのぞかせている。

 調査はインターネット調査のモニターに登録している企業の新卒採用担当者766人から10月1~4日、10月1日現在の採用状況を聞いた。

 それによると、現在も採用活動を継続している企業は56.0%に上り、前年同期の47.6%に比べて8.4ポイント増えた。既に終了している企業は18.7%にとどまり、前年同期の30.9%より12.2ポイント少なくなっている。
内定者がいない企業は全体の22.7%だが、従業員99人以下の中小企業では40.0%に達し、事業規模が小さいほど内定者のいない比率が上がっている。業種別だと建設業が38.3%と高かった。

 内定辞退率は10%未満とする回答が47.8%を占め、前年同期に比べて大きな変化はなかった。しかし、内定者の充足率は予定より高いとする企業が前年同期を1.5ポイント下回る11.2%で、予定より低いとした企業が前年同期を1.1ポイント上回る20.6%に達している。売り手市場の中で学生を思うように確保できない企業が増えているとみられる。

 また、企業の55.8%が学生の保護者から接触や問い合わせを受けていた。合否結果の問い合わせが最も多く、次いで「会場への同行・送迎」「内定辞退の連絡」など過保護の学生が増えている一面もうかがわせた。
企業側も47.1%が保護者への取り組みを行っており、「内定者の保護者向けに説明会・社内見学会を開催」「応募者の保護者向けに会社説明会を開催」「内定式・入社式への招待」等が挙がった。

 特別選考ルートについては、企業の61.1%が「ターゲット校」「ターゲット学部」の学生を対象に「ある」と回答しており、46.5%の企業が「学部」「学歴・学校名」でフィルタリングしていた。

参考:【アイデム人と仕事研究所】2018年卒学生の新卒採用に関する企業調査【10月1日状況】

大学ジャーナルオンライン編集部

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