科学技術振興機構は、第4回羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)の最優秀賞に理化学研究所の藤代有絵子氏(32)を選んだ。30歳台前半で功績を認められ、後にノーベル賞を受賞したマリア・スクウォドフスカ=キュリーにちなんで国際的な活躍を期待できる女性の若手研究者に贈るもので、表彰式は東京都目黒区のポーランド大使館で行われた。

 科学技術振興機構によると、藤代氏は山梨県出身。東京大学工学部物理工学科を卒業したあと、東京大学大学院工学系研究科で修士課程、博士課程を修了。2021年に理化学研究所基礎科学特別研究員となり、2024年から理化学研究所の創発物性科学研究センターで極限量子固体物性理研ECL研究ユニットのユニットリーダーを務めている。

 専門分野は物性物理学。金属に含まれる多数の電子は棒磁石のような性質を持ち、渦巻きしたり整列したりして極微の模様を形成するが、藤代ユニットリーダーは合金に磁場などの力を加えて模様を変化させ、そこに現れる新たな機能を探している。この研究が進めば、大容量の小型記憶装置や廃熱を電気に変える装置の開発に結びつくと期待されている。

 奨励賞には、米スタンフォード大学医学部遺伝学科博士研究員の鄭麗嘉氏、スタンフォード大学生物学科および日本学術振興会海外特別研究員の吉本愛梨氏が選ばれた。

 羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)は、科学技術振興機構が駐日ポーランド共和国大使館と共に2021年度に創設した。対象となる博士後期課程および博士号取得後数年以内の女性研究者は、自立した研究者としての飛躍が最も期待される一方で、さまざまなライフイベントに直面する時期と重なる。本賞により活躍を称えることで、女性研究者への応援と次世代の女性研究者育成を後押しする。

参考:【科学技術振興機構】第4回羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)受賞者の決定について(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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