医学部医学科進学を目指す生徒に対し、専門的かつ実践的な教育プログラムを提供する高校が、公立高校、私立高校ともに増えている。

 岩手県立の盛岡第一高校(岩手県盛岡市)は、2026年度入学生から進学型単位制を導入し、難関大学や医学部医学科への進学を目指す「医系コース」を新設する。医系コースは、普通科・理数科いずれの生徒も選択可能で、特別なクラス編成は行わず、希望者が必要な学びを深められる仕組みとなっている。1・2年次には卒業生の現役医師や医学部教員、医療関係者による講話や病院見学を実施し、医療への理解と進学意欲を高める。3年次には、医学部受験に特化した「医学特論」などの選択科目を設け、学力向上や面接・小論文対策など、受験に直結した指導を行うなど、手厚い指導体制で進路実現を支援する。

 同様に2026年度から「医専コース」を新設するのは私立星野高等学校(埼玉県川越市)である。医専コースは、医学部医学科への進学を主目的とし、理数科目の強化や小論文・面接指導を中心とした高度な学びを提供する。医学部入試に対応したカリキュラムや放課後指導、出願指導に加え、医療機関や大学、卒業生の医師・医学部生との連携による特別講義や実習、医療探究活動など、実践的かつ総合的な教育を行う。将来、地域医療を支える医師として活躍する人材の育成を目指し、生徒一人ひとりの夢の実現を全力でサポートする体制が整えられている。

 公立高校に医学部進学コースを設置しているケースとしては、将来の地域医療を担う人材の育成を図るため2014年から医歯薬コースを設置した千葉県立東葛飾高校などがある。また茨城県は「茨城県医師不足緊急対策行動宣言」に基づき2019年度から日立第一、水戸第一、土浦第一、並木中等、古河中等の5校に医学コースを、福島県は将来福島県で活躍できる人材を育てるため、2022年度から福島、安積、会津、磐城の4校に医学コースを設置している。

 私立中高の医学部進学コースは1990年代より設置が多くなり、開志国際高校(新潟県)、春日部共栄中学高等学校(埼玉県)、江戸川学園取手中学校・高等学校(茨城県)、広尾学園中学校・高等学校(東京都)などの中高で設置されている。2024年度より淑徳与野中学・高等学校 医進コース、2025年度より順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校 医学進学コースが設置されるなど、近年も新設が相次いでいる。

参考:
【盛岡第一高校】進学型単位制について
【星野高等学校】医専コース特設サイト

大学ジャーナルオンライン編集部

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