国立大学協会は、2020年から導入される大学入学希望者学力評価テスト(仮称)の実施方法について論点をまとめ、公表した。考えられる試験時期と採点方法などについて長所と短所を列記、今後の検討課題とする考えだ。

 論点は、これまでの議論や会員を対象に実施したアンケート調査の結果を踏まえてまとめた。アンケートでは約7割の大学が前期と後期に募集人員を振り分けて選抜する現行の分離・分割方式存続に賛成したため、共通試験の実施時期を現在の1月中旬もしくはそれ以前として検討を進めた。

 現在より前倒しして12月中旬などに共通試験を実施した場合、入試センターによる十分な採点期間を確保できるため、相当数の記述式問題を出題できる。しかし、高校の授業やクラブ活動への影響が大きく、高校側の理解を得るのはかなり難しいとしている。

 しかし試験日程が現行の1月中旬のままで、2月初めの前期試験願書受付締切直後に各大学へ成績を提供する場合、採点期間がわずか2週間しかない。記述式問題の出題が短文に限定されるなど内容の充実を望めないとみている。

 このため、記述式試験の採点期間だけを延長し、前期日程個別試験の実施直前まで遅らせることで十分な採点期間を確保し、個別試験での選抜だけに利用することも検討対象に加えるべきだとしている。

 共通試験の日程は今のままで、記述式試験について入試センターは採点基準を示すだけにとどめ、各大学で採点する方法もあるが、大学の負担が著しく大きくなるばかりか、大学や学部によって対応が分かれる可能性がある。

 国立大学協会はどの手法にも長所と短所があり、それらについてより詳しい検討が今後、必要になるとしている。

参考:【国立大学協会】大学入学希望者学力評価テストの実施時期等に関する論点整理~とくに国語系記述式試験の取扱いについて~

大学ジャーナルオンライン編集部

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