岐阜大学保健管理センターの足立美穂助教、山本眞由美教授らの研究グループが岐阜大学の学部新入生の発達特性および精神的健康度に関する調査を実施したところ、8.58%の学生に発達特性を有することが推察された。また、発達特性を有すると推察される学生では、それ以外の学生に比べて抑うつ、不安、ストレスなどの精神的健康度リスクが高いことが分かった。
岐阜大学によると、発達特性とは自閉症スペクトラムや注意欠如・多動症(ADHD)といった特徴を持つ人々の認知や行動の傾向を指す。これらの特性を持つ人は、周りの環境に対する感じ方や考え方が個性的で、社会的なやりとりや集中力において独特な傾向を示すことが多い。例えば、強い集中力を持ちながらも他人とのやりとりに難しさを感じたり、注意が散漫になりやすい一方で新しい視点を生み出す創造力に富んでいるなど、様々な性質を含む広い概念。
調査は学部新入生全員(日本人)を対象に入学1カ月以内の時期に実施、自閉症スペクトラム指数と成人期ADHDを基に発達特性、米国で開発された国際標準の心理指標CCAPSを用いて精神的健康度を調べた。
その結果、分析対象711人のうち、8.58%に当たる61人に発達特性の傾向が見られ、抑うつ、全般性不安、社会不安、学業ストレス、食行動、敵意、家族ストレスの7項目で精神的健康度リスクが高いと判定された。研究グループは8.58%という数字を「少なくない」とみている。
近年、発達特性に対する理解が徐々に広がり、高校から大学へ進学する際に精神的健康度リスクが高くなっていることが分かっているが、研究グループは大学など高等教育機関では入学時から発達特性を持つ学生への支援や合理的配慮の必要性を認識して対応に乗り出す必要があると提言している。