京都大学ヘルスセキュリティセンターの今中雄一教授、大学院医学研究科の國澤進准教授、岸本健治客員研究員らが公立病院再編による地域住民への影響を調べたところ、地域内で入院する患者が増えるなど、地域住民への医療提供体制が向上していることが示唆された。
国内では2010年代からスタッフ不足や赤字経営から医療機関の統廃合が進められている。公立病院の再編があった地域では病院側から見た経営改善の状況などが明らかにされることが多かったが、地域住民側から結果を分析する事例は少なかった。
そこで研究グループは国内で実施された公立病院の再編を例に取り、再編があった2次医療圏(入院治療が完結するように設定された全国約330の区域)で地域住民の入院数や受診数にどんな変化が起きたかを、保険請求データから分析した。
それによると、その2次医療圏では公立病院再編前、過疎化と高齢化が進み、住民の多くが他地域の医療施設に入院していた。ところが、再編前後7年間に入院した65歳以上の約5万9,000件のデータを解析したところ、再編後に地域内に入院する患者が増え、他地域に入院する患者を上回っていることが分かった。この再編によって地域住民へ医療を提供する体制が向上
したことを示唆している。
この変化は85歳以上の高齢者で特に顕著で、公立病院再編が地域住民に医療を提供する体制の強化をもたらしたことが示唆された。

