上智大学では、2020年7月に九州南部に甚大な被害をもたらした九州豪雨の調査研究を行うため、9月中旬から12月末までの予定で熊本県人吉市に「上智大学九州水害調査団」を派遣する。
「上智大学九州水害調査団」は、地球環境学研究科、理工学部、文学部新聞学科、総合人間科学部看護学科および国際教養学部の教員により構成。専門領域の壁を越えた学融合型のプロジェクトとして、多角的な視点から水害原因とその影響度を調査し、課題解決に取り組む。
主な活動計画および調査内容は、河川工学的調査および避難体制と全体計画の立案、地域防災行政研究、被災者のメンタルヘルスとケア、水害報道の検証、災害時のエネルギー供給。
上智大学では、「持続可能な地域社会の発展を目指した『河川域』をモデルとした学融合型国際共同研究」が2016年度私立大学研究ブランディング事業に採択され、水害メカニズムの解明と対策提言は、同事業の一環として、研究成果の社会への還元を目指して取り組んでいる。水害は自然科学領域にとどまらず、経済や文化、行政など社会科学や人文科学の領域にまたがる問題であり、社会が持続可能な発展を遂げる上で、複合的な視座をもって解決を図る問題と総括できる。
この研究活動の実践的応用として、2019年に、曄道佳明学長のリーダーシップのもと、日本での大規模水害発生時に調査研究活動を行う「上智大学水害調査団※」を設立。今回の九州水害調査団も、この取り組みの一環で、2020年7月31日に結成された。
※上智大学水害調査団は、2019年11月～2020年2月にかけて、同年の台風19号により大規模な河川氾濫が発生した長野県の千曲川流域にて水害調査を行った。堤防決壊の原因究明、避難行動にメディアが与えた影響、被災者のメンタルヘルスケア、壊滅的な被害を受けた新幹線車両センターの水害対策の検証等について、工学的現地調査や住民へのヒアリング、長野市役所および千曲市役所やNPO団体へのヒアリングを実施し、統合的な視点から問題解明と対策を提言。今後、長野市で調査報告会を行う予定。
