2025年11月5日、岡山県津山市は第5回美作大学の公立化に関する有識者検討会議を開催し、同会議資料として「美作大学の公立化に関する有識者検討会議 報告書(案)」を公表した。

 地域の小規模私立大学では志願者数の減少や定員割れが進み、安定した経営基盤の早期確立が存続のための重要課題であると位置付けられている。美作大学においても、2023 年度以降は定員割れとなり、今後の持続的な運営が危ぶまれる状況にある。そのため、公立化をはじめとする複数の存続方策を専門的かつ客観的見地から検討するため、2025年6月に「美作大学の公立化に関する有識者検討会議」を設置した。

 その後、計4回にわたり検討を重ね、私立大学の公立化先行事例の状況、美作大学の地域経済への波及効果、公立化後の経営シミュレーションなどの検討結果を整理し、5回目となる検討会議で各種の関連資料と提言を「報告書(案)」としてまとめている。その内容は、同大学の現状、大学存続に向けた検討、新学部の検討、公立化の論点などに分けられ報告されている。

 「報告書(案)」では、美作大学の現状について、「食と子どもと福祉」の分野において優れた専門職人材を輩出し、地域の課題解決や活性化に貢献していること、また経済波及効果も大きく、毎年約19億円の効果が津山市にもたらされていると報告。特に学生・教職員の消費による効果は9億2,800万円と最も多い。

 また、大学存続に向けては、現状施設は耐震改修が完了していることから、公立化後20年間で約18億円の施設維持費を見込んでも黒字経営が維持可能と試算されている。津山市は単独公立化以外にも、「大学の更なる自助努力」「他法人への経営譲渡」「市独自の支援」「広域連携」などの方策を検討したが、いずれも実現可能性や即効性に乏しく、多くの課題を抱えていると評価された。

 学部新設についても検討しており、高校生や事業者に調査したところ、地域ニーズが高い「人文学」「教育学」「経済・経営・商学」「理学」「工学」「情報・データサイエンス」「看護」の7分野のうち「工学」「情報・データサイエンス」「看護」の3分野の評価が高かった。しかし新学部設置には多額の初期投資や教員確保の課題が存在し、引き続き慎重な検討が求められている。

参考:【岡山県津山市】第5回美作大学の公立化に関する有識者検討会議

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