独立行政法人日本スポーツ振興センター、筑波大学、大妻女子大学、東邦大学、桐蔭横浜大学の研究チームは、日本の中学・高校生の部活動におけるスポーツ関連脳振盪の発生状況と特徴を明らかにした。
本研究では、全国規模の保険登録データを用いることで、2012年~2022年に中学・高校の部活動中に起きたスポーツ関連脳振盪11,660件を対象として抽出し、性別、学年、競技特性、試合と練習の違いを分析した。
その結果、2012年~2022年の合算で脳振盪の発生件数は男子9,766件(84%)、女子1,894件(16%)であり、男子で有意に多い傾向が認められた。学年は中学・高校とも2年生が最多で5,093件(44%)を占め、1年生3,981件(34%)、3年生2,586件(22%)だった。
競技別では体がぶつかることの多い競技(コンタクトスポーツ)が8,705件と、そうでない非コンタクトスポーツ2,955件に比べて約3倍多く発生していた。ラグビー(2,167件)を筆頭に、次いで柔道(843件)、空手(143件)など武道でも相対的に高い発生が確認された。また、脳振盪が発生する場面は、全体では試合5,696件(49%)、練習5,165件(44%)、不明799件(7%)であり、試合中だけでなく練習中の受傷も少なくないことがわかった。競技特性別にみると、コンタクトスポーツでは試合中が55%(4,830件)と多い一方、非コンタクトスポーツでは練習中が63%(1,872件)と多い傾向が示された。
本研究により、脳振盪がどのような競技・場面で起こりやすいのかが全国規模のデータで明らかとなった。特定の競技だけではなく、競技ごとの特性と関係して脳振盪の起こりやすさや場面(試合/練習)が異なる可能性も示された。これを踏まえ、実態に即した予防教育と安全対策の強化が重要だと考えられる。
