東北大学の祢津昌広 助教(東北メディカル・メガバンク機構地域医療支援部門)らは、急性腎臓病を悪化させ、慢性腎臓病の発症・進行につながるしくみが明らかにした。

 急に腎臓のはたらきが悪くなる「急性腎障害」は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の影響があると症状がさらに進行し、最終的には慢性腎臓病と診断されることが少なくない。急性腎障害においては、活性酸素種などの細胞を損傷させる分子が蓄積した状態=「酸化ストレス」が大量に発生し、腎臓を徐々に障害することが指摘されていたが、治療において酸化ストレスを消滅させることは難しいと考えられている。

 研究グループは、急性腎障害の段階で酸化ストレスを減らして慢性腎臓病への進行を予防することを目指し、酸化ストレスを消去する能力の高い遺伝子改変マウスを作出して実験をおこなった。

 その結果、遺伝子改変マウスは慢性腎臓病の病態が軽度であることを発見した。つづいて急性腎障害を生じたマウスに酸化ストレスへの抵抗性を高める薬剤を飲ませた結果、発生後1~5日目の間に薬を飲ませることで、慢性腎臓病への進行が抑えられた。一方、7日目以降に投与したマウスには効果がなかった。

 以上の実験によって、酸化ストレスが腎臓病を進行させる原因となることが解明された。また、急性腎障害となった後、早い時期に酸化ストレスへの抵抗性を高めることで慢性腎臓病への進行が抑制されることがわかった。

 慢性腎臓病は日本の成人の8 人に1 人が発症する国民病であるが、その特効薬はいまだ開発されていない。本研究でマウスに投与したものと同様の薬剤を使った臨床試験がすでに実施されており、今後、慢性腎臓病の発症・進行を防ぐ新薬の開発に貢献するものと期待されている。

東北大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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