岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)と岡山大学病院新医療研究開発センター、林原の共同研究グループは12月16日、2006 年に林原が開発した新規の制御性T細胞「HOZOT(ホゾティ)」を用いて、腫瘍融解ウイルス製剤をがん細胞へ選択的に運搬する技術の開発に成功したと発表した。

腹膜播種転移はがんの進行に伴って原発巣から腹腔内にがん細胞が広がった状態のことで、全身の化学療法にしばしば抵抗性を示し予後不良な経過を辿る。現在、腹膜播種転移に対する腹腔内化学療法が行われているが、臨床試験ではまだ十分な生存率の改善には至っていない。このため、より有効ながんへの指向性が求められている。

今回、研究グループは、新規の制御性T細胞「HOZOT」のがん細胞への選択的な細胞内侵入効果を利用して、腫瘍融解ウイルスを搭載したHOZOT細胞を作製。がん細胞へ選択的に腫瘍融解ウイルスをデリバリーする技術を開発した。腫瘍融解ウイルスを搭載したHOZOT細胞は、がん細胞への選択的なデリバリー機能によってがん細胞内に侵入してウイルスを拡散させるため腹腔内に広がったたくさんのがん細胞を死滅させることを動物モデルで証明したという。

今後、個々のがん患者の血液からHOZOT細胞を樹立することができれば、それぞれの患者に合った腫瘍融解ウイルスのがん細胞への選択的なデリバリー技術が可能となる。これにより、難治性の腹膜播種転移に対する新たな治療戦略となることが期待されるとしている。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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