関西医科大学の森本尚樹准教授らの研究チームは、ほくろ(色素性母斑)の色成分・メラニン色素が体内に吸収され、自然に消滅する条件を世界で初めて解明した。

 ほくろが黒いのはメラニン色素が存在するためだが、メラニン色素は生体内では長期間安定して存在し続けることができない。それでもほくろが消えずに残り続けるのは、ほくろの細胞である母斑細胞が色素の産生を助けているためであることが知られている。

 研究チームはこの母斑細胞に着目し、母斑細胞を死滅させれば自然と色素が体内に吸収され、ほくろを消すことができるという仮説を構築した。今回の研究では、母斑組織を比較的低い2,000気圧で10分間処理。これにより、皮膚の主要成分であるコラーゲンなどを損傷することなく自然のまま残し、母斑細胞などの細胞を完全に死滅させることに成功した。

 さらに、このようにヒト母斑組織を高圧処理して死滅させたものとそうでないものを、それぞれ免疫不全マウスに移植した。その結果、未処理群は1年後も色素が残っていたのに対し、死滅処理群の色素は吸収され、消滅したことを確認。母斑細胞さえ死滅させれば、ほくろが自然に消滅することを、世界で初めて解明した。

 研究チームは平成28年度から先天性巨大色素性母斑の患者に対して母斑組織の高圧処理と再移植を行う再生医療臨床試験を実施し、予定の10症例の登録を終了。今回の研究成果を加え、厚生労働省が定める「先進医療B」(従来の高度医療に相当)の承認に必要な5例程度の新たな臨床研究を準備している。

論文情報:【PLOS ONE】Melanin pigments in the melanocytic nevus regress spontaneously afterinactivation by high hydrostatic pressure

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大学ジャーナルオンライン編集部

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