中部大学の長谷川浩一准教授らは佐賀大学と共同で、ゴキブリの遺伝情報を解析することで、脱皮に影響を及ぼす遺伝子を発見。この遺伝子から合成したRNAをゴキブリの体の一部に注射すると、全身の遺伝子の働きが阻害され、脱皮不全により死んでしまうことを確認した。

 ゴキブリは3億5千万年の歴史を持ち、世界中におよそ4,500種類が生息している。多様性が高いことから進化生物学の魅力的な研究対象だ。しかし、「生物としてのしぶとさ」を持つことから駆除は簡単ではない。

 今回研究チームは、国内に多く生息するクロゴキブリを用いて、「RNA干渉」による実験を行った。この実験手法は、遺伝情報を伝達するRNA(メッセンジャーRNA)と並列につながって2本鎖を形成する性質の相補的RNAを使い、RNAの働きを調べるものだ。相補的RNAを体内に注入するとメッセンジャーRNAとつながって働きを止める。

 研究チームはまず、ターゲットとなるゴキブリ遺伝子(vha55)の二本鎖RNAを実験室で合成し、中齢幼虫の腹腔内に注射。その結果、全身で遺伝子の働きが10~40%に抑えられることが確認できた。

 つぎに、vha55の働きを抑制したクロゴキブリを観察したところ、脱皮不全により死亡することが分かった。脱皮開始の兆候はみられるが、古いクチクラ(体表の堅い膜)の下にある新しいクチクラが正常に形成されず、体も十分な大きさに成長しないことから、vha55が重要な働きをしていることが分かった。

 現在、注射の代わりに、経口投与にて同様の全身性RNA干渉効果を発揮する方法を開発中という。餌として与えることにより効果が得られれば、他の生き物に害がなく狙ったゴキブリだけを退治できる、安心安全な新薬開発につながることが期待される。

論文情報:【Insect Science】Systemic RNAi of V-ATPase subunit B causes molting defect and developmental abnormalities in Periplaneta fuliginosa

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