京都大学の柳田素子教授らの研究グループは急性腎障害が慢性腎臓病などに移行するメカニズムを解明しました。急性腎障害の治療が慢性腎臓病や末期腎臓病への移行を食い止める可能性を示しています。

 急性腎障害は数時間から数日の間に腎臓の機能が急激に低下してしまいます。症状としては尿量の減少やむくみ、全身倦怠感などが現れ死に至る場合もあります。致死率が高い一方で最近まで「治る病気」という認識もありました。ところが最近の調査で慢性腎臓病や末期腎不全へと移行し、人工透析の導入にも至る予後の悪い病気であることが分かってきました。単独の慢性腎不全と比べても透析導入の症例が圧倒的に多いことが報告されています。急性腎障害では腎臓の近位尿細管という部分が障害をうけます。慢性腎不全に移行する間に障害が広い範囲に及びます。こうした病態の変化が起こることは症例から明らかですが、そのメカニズムの詳細は明らかになっていませんでした。

 今回、柳田教授のグループは独自に作製した遺伝子改変動物を用いて、急性腎障害に見られる近位尿細管の障害が周囲の細胞を変化させることでその病態を広げていくことを証明しました。さらに、近位尿細管の障害の強さや頻度が慢性腎臓病に移行する要因となっていることも明らかになりました。

 この成果は急性腎障害を適切に治療し、近位尿細管の健康を保つことが慢性腎臓病や末期腎不全へ移行するのを食い止める可能性を示唆するものです。透析導入を防いだり、遅延させたりする治療へとつながることが期待されます。

京都大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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