2024年9月6日、京都府は、2026年4月から京都府立農芸高校(南丹市)と北桑田高校(京都市右京区)を京都府立大学(京都市左京区)の「系属高校」にすることを発表した。高校と大学が連携した質の高い学びを実現し、京都府の農林業や関連産業の振興に資する人材を育成する。また、京都府立大学の連携学科の入試において2027年度から「系属校枠(仮称)」を新設する。

 「系属高校」は、特定の大学と連携関係を持つ中等教育を行う学校で、大学を運営する学校法人とは別の学校法人等により運営され、連携する大学に対し一般受験者と比べ優先的入学を認められる。

 今回、系属校化するのは、京都府立農芸高校と京都府立大学農学食料学部(連携学科:農学生命科学科)、北桑田高校と京都府立大学環境科学部(連携学科:森林科学科)。系属校化により双方の施設を活用した教育機会を充実させ、研究室訪問や大学教員による講義など専門的で質の高い学びを実現する。また、大学との連携を通じて高校教員のスキルアップも期待される。さらに、高校生と大学生との共同研究による学修意欲の向上を目指す。

 京都府立大学は2024年4月に学部学科再編を実施し、3学部から「文学部」「公共政策学部」「農学食科学部」「生命理工情報学部」「環境科学部」の5学部体制となっている。京都全体をキャンパスと位置付けており、京都市には下鴨キャンパス(京都市左京区)、京都府南部には農場などがある精華キャンパス(相楽郡精華町)、北部にはサテライトオフィス(舞鶴市)を設けている。

 京都府立大学への優先的入学については、現高1生が対象となる2027年度入試から、農学食科学部農学生命科学科・環境科学部森林科学科にそれぞれ「系属校枠(仮称)」を新設。入学定員の約1割(4~5名)を募集定員とする。選抜には学力試験を実施し、学科毎に系属校枠(仮称)の範囲内で合格者を決定する。詳細は2024年度中に公表する予定。

 全国の公立大学で見ると、大学と運営する法人が異なる場合でも、秋田公立美術大学附属高等学院、高崎経済大学附属高等学校のように、「附属校」という名称を付けている例も見られる。今後、公立大学で公立高校の「系属校化」「附属校化」が、地域産業の人材育成などの観点から増えていくことが考えられる。

参考:【京都府】府立高2校を府立大学の系属校に位置づけ ~高校・大学の高度連携で、農林業の人材育成を推進~(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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