九州大学大学院システム情報科学研究院の中村優吾助教らの研究チームは、“やさしい介入デザイン”によって自然にスマートフォンゲーム(以下、スマホゲーム)の遊びすぎを抑制できることを実証した。
近年、長時間のスマホゲームによる健康への影響や、特に若年層におけるゲーム依存が社会問題となっている。しかし、従来の対策は、OSや外部アプリによる利用制限が中心で、ゲームそのものとは独立した仕組みであるため、十分な効果が得られないケースがあった。
例えば、日常生活では、電車で電波が悪くなると自然とスマホ利用をやめるなど、“ちょっとした不便さ”が行動をやさしく調整することがある。本研究チームは、こうした現象をゲームデザインに取り入れることで、自然に遊びすぎを抑えられるのではないかと着想した。
そこで本研究では、スマホゲーム「Flying Gorilla」の世界8万人のユーザーを対象に、「数秒の待ち時間(ロード遅延)の挿入」と「画面のグレースケール化(モノクロ化)」という2種類のシンプルなデザイン介入をランダムに1か月間適用する大規模実験を実施した。
その結果、1日の平均プレイ時間は、ロード時間を10秒に延ばすと14.3%減少し、画面をグレースケール化すると22.8%減少した。さらに、両者を組み合わせるとプレイ時間が最大30.8%、継続率が40.4%低下し、より強い抑制効果が確認された。
本研究は、ゲーム側のデザインに“やさしいブレーキ”となる仕組みを組み込むことで、強制的な制限に頼らず自然に利用時間を調整できる可能性を示した。今回の成果は、ゲーム依存の予防だけでなく、スマホ全般の使いすぎを抑えるデザインへの応用も期待され、ユーザーの自律性を尊重しながら健全なデジタル利用を支える仕組みづくりに貢献すると考えられる。
