群馬大学大学院医学系研究科の石井秀樹教授らが全国で初めて、中学校の健診にデジタル聴診器を導入した。8秒間で心音のデジタルデータを取得でき、AI(人工知能)技術を活用して解析する仕組みで、心電図で捉えきれなかった先天性心疾患などの早期発見、見逃し防止に貢献できると期待されている。
群馬大学によると、この聴診器は手のひらサイズの大きさで、胸部に接着すると8秒間でデジタルデータを取得する。データはAIが解析し、専門医の遠隔読影を組み合わせて判定する。
衣服の上やすき間から装着することができ、プライバシーに配慮した健診環境の実現にもつながる。また、デジタル聴診器で取得した心音は、個人の健康や身体に関する健康データ(PHR:パーソナルヘルスレコード)として経時的な変化をみることで、将来の疾患を早期発見することも期待される。
研究グループは2025年度、群馬大学生100人を対象に実験をしたうえで、2026年6月に群馬大学共同教育学部附属中学校(群馬県前橋市)2、3年生の希望者99人を対象に学校健診の場で使用した。その結果、通常の時間枠の中でスムーズに検査することができた。
今後、医師による聴診結果と精度を比較するほか、生徒や学校に負担を掛けない学校健診の仕組みを検証して次世代の学校保健モデル確立を目指す。
日本の学校健診は半世紀以上の歴史を持ち、子どもたちの心臓病発見に貢献してきた。しかし、従来の耳で聞き取る聴診には、周囲の雑音の影響や医師の経験則への依存、所見がデータとして残らないこと、心電図で捉えきれない疾患の存在などの課題があった。
参考:【群馬大学】全国初、デジタル聴診器を中学校健診に活用―医療DXで心疾患の早期発見と学校健診の質向上を目指す―(PDF)
