摂南大学と姫路獨協大学の研究グループは、オオセグロカモメの糞便から、院内感染の原因菌として知られるステノトロフォモナス・マルトフィリアを高頻度に検出したことを明らかにした。
オオセグロカモメは、夏季に北海道周辺で繁殖し、冬季には西日本から東南アジア地域へ移動することがある。コリスチン耐性大腸菌が検出されたことがあり、薬剤耐性菌の保有宿主・運び手となる可能性が示されていた。今回、薬剤耐性菌の種類や、その遺伝的・生物学的特徴を探るため、2024年に北海道東部の繁殖地で採取したオオセグロカモメの新鮮な糞便を解析した。
その結果、院内感染の原因菌となるステノトロフォモナス・マルトフィリアが糞便中に高い割合(総細菌数中14〜47%)で存在していた。さらに、抗菌薬のメロペネム、シプロフロキサシン、コリスチンを含む培地で増殖した耐性菌は、すべてステノトロフォモナス・マルトフィリアだった。これらの耐性菌は、検体の53%から検出され、糞便1gあたり約100〜1万個の生菌が確認された。
また、約18%の株が、本菌感染症の治療に用いるスルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤(ST合剤)とレボフロキサシンの両方に耐性を示した。一方、95%の株は、別の治療薬候補のミノサイクリンに感受性を示した。また、分離株のほぼすべてが、強いバイオフィルム形成能と高い遊泳運動性を示した。
今回の成果は、渡り鳥であるカモメ類が薬剤耐性菌を腸内に保有し、糞便を介して自然環境中へ拡散させる可能性を示すもの。ヒト・動物・環境を一体的に捉えるワンヘルスの観点から、野生鳥類を含めた薬剤耐性菌の継続的な監視の重要性を示しているとしている。
