関西大学社会学部の吉川徹教授は、2026年の「丙午(ひのえうま)」に関する意識調査を実施し、丙午による「産み控え」の規模を約1.8万人と推計した。60年前と比べて迷信の認知は大幅に低下したものの、出産時期への影響は残っていることを示す結果となった。また出産の先送りなどにより、2027年の出生数が約71万人へ増加する可能性を指摘している。

 2026年は、1966年以来60年ぶりの丙午の年だった。前回は出生数が大幅に減少したが、今年は前年並みの見込みで、丙午による影響は一見小さいようにみえる。吉川教授は2026年9月、全国の20~39歳の既婚女性約2,000人を対象に、妊娠・出産に関する意識や丙午の認知などを調査。1966年に実施された調査と比較したところ、当時はほぼ全員が知っていた丙午の認知が、今回は約半数にとどまり、また、若い年代ほど認知度が高いという違いもみられた。

 一方、丙午を知っている女性の約4%、調査対象全体の約2%が、丙午を理由に今年の出産を望まなかったと回答。吉川教授は、調査で得た出産・出産予定と出産回避の比率を人口動態データに当てはめ、妊娠・出産に至る可能性などに一定の仮定を置いて試算。その結果、丙午による出生抑制の規模を17,859件、約1.8万人と推計した。60年前と比べて影響は大幅に縮小したものの、現在も出産時期の選択に関わっている可能性が示された。

 10月公表の人口動態統計速報を基に、吉川教授は2026年の年間出生数を約67万人と推定。前年並みの水準となる見込みだが、丙午による約1.8万人の産み控えがなければ、出生数は増加していた可能性があると分析している。また、丙午を避けて出産を先送りする動きなどにより、2027年は約71万人へ増加する可能性を指摘。出生数の減少が底を打ったかを見極めるには、丙午による一時的な変動を考慮する必要があるとしている。

 吉川教授は「丙午迷信についてのメディア報道は60年よりもはるかに少なく、産み控えへの社会的関心は薄れているように感じられる。その反面、誤解に基づくネット言説なども散見される。私自身は、2026年の“産み控え”はゼロに近いものと予測していたのだが、調査結果からは思いがけない実情が明らかになった。丙午迷信の意外な根強さにあらためて驚いている。」とコメントした。

参考:【関西大学】◆関西大学社会学部・吉川徹教授が「令和の丙午」を調査◆ 丙午による「産み控え」は約1.8万人と推計 ~出生数は底打ちか。2027年は約71万人へ増加の可能性~(PDF)

関西大学

考動力と新たな価値を創造する力で、未来を切り拓く

140年の歴史をもつ関西大学は、大学昇格、また、学是「学の実化」の提唱100周年を2022年に迎えました。専門性を深く追求、好奇心のままに知を探究、自分の学びを広げる14学部を擁する総合大学です。不確実性の高まる社会の中で困難を克服し未来を切り拓こうとする強い[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。