Climate change: Extreme weather in Europe could increase Green voting
ヨーロッパ市民が極端な気候事象を経験すると、環境問題への関心と環境保護政党の支持率が著しく高まるかもしれないという研究結果を報告する論文が、Nature Climate Change に掲載される。今回の知見は、気候変動対策に対する国民の支持を決定する要因について理解を深める上で役立つかもしれない。
過去20年の間にヨーロッパ全体で気候変動問題の認知度が高まるとともに、欧州議会における環境保護政党の得票率が上昇した。過去に極端な気候事象を経験したことが、こうした変化の重要な駆動力になったと考えられているが、経験と環境問題への関心と実際の投票行動との因果関係を示す証拠は限られている。
今回、Roman Hoffmann、Jonas Peisker、Raya Muttarakたちは、ヨーロッパの複数の国々を対象とした精度の高い世論調査データと選挙データを用いて、異常気温、猛暑、日照りが、34か国で人々の環境に対する関心を著しく高め、24か国で環境保護政党の得票率を著しく高めた可能性があることを示す証拠を得た。また著者たちは、地域差を調べ、この影響が、より温暖な地中海気候の地域よりも、温暖な大西洋気候や寒冷な大陸気候の地域で顕著に表れていることを明らかにした。こうした予測は、地域の国内総生産(GDP)によって変化しており、極端な気候事象を経験した結果として気候変動対策への支持が増えることは、個人所得水準の高い地域でのみ起こることが示唆される。
[英語の原文»]
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
※この記事は「Nature Japan 注目のハイライト」から転載しています。
転載元:「気候変動:ヨーロッパの極端な天候が環境保護政党の得票率を押し上げるかもしれない」