健康総合企業のタニタと東京大学高齢社会総合研究機構(東京大学IOG)は2024年7月、東京都板橋区のタニタ本社にある都市型スマート農園での体験が社会的・身体的フレイルに及ぼす予防・改善効果を共同で調べる実証実験を始める。
タニタによると、農園はタニタとNTT東日本、都市農園サービスのプランティオの3社が2023年にタニタ本社の敷地内に開設した。1人ひとりに区画を貸し出すのではなく、参加者が共同で農作業するコミュニティー型農園で、土壌中に設置したIoTセンサーで収集したデータを基に専用アプリケーションで栽培の助言をする機能を持つ。
実証実験では、板橋区の地域住民を対象に参加希望者を募集し、参加者同士でコミュニケーションを取りながら、アプリのアドバイスに従って水やりや土寄せ、間引き、収穫などのアクティビティーを体験する。
東京大学IOGとタニタでは、こうした農園での体験を通じて形成される参加者のコミュニティーが、社会的フレイルのリスクを低減させる効果があると考えており、そのメカニズムを検証するとともに、より効果的な介入手法を検討する。また、収穫した野菜をタニタ食堂やタニタカフェのレシピを基に調理して参加者に提供したり、バーベキューパーティーを開催したりするなどコミュニティー活性策を展開し、その効果を検証する。
日本は2065年、人口の38%以上が65歳以上の高齢者になり、75歳以上の後期高齢者も全人口の25%を上回ると予測されている。高齢化が進行する中、健康寿命と平均寿命の差が女性で12.07歳、男性で8.73歳に広がり、医療費の増大が国や地方自治体の財政を困窮させる社会問題になりつつある。
健康寿命と平均寿命の差を是正するため、東京大学IOGのフレイルに関する知見とタニタの計測技術を活用することでフレイルの予防・改善効果を可視化し、エビデンスに基づくフレイル予防・改善事業の構築を目指す。
参考:【株式会社タニタ】東京大学高齢社会総合研究機構とタニタが共同研究 都市型スマート農園でフレイル予防・改善の実証実験を開始