東京科学大学発のベンチャー、wavelogy株式会社と横浜市水道局は、横浜市内の水道管漏水を人工知能(AI)で発見する実証に入った。実証結果を基に2028年度の実用化を目指す。
wavelogyによると、実証には同社が開発したAI漏水検知ツールを活用、既存の音聴棒や漏水探知機に専用のデータ収集装置を装着し、これまでの調査方法を変えずに位置情報と音データを収集する。このデータをAIが診断し、漏水の有無を判断する。さらに、専門の漏水調査技術者がAIの診断結果を評価し、精度の向上を図る。
調査期間は2026年3月末まで。収集データと診断結果を検証したうえで、結果を可視化するプラットフォームを構築、漏水調査の省力化と人手不足解消に結びつく実用化を目指す。
現在の水道管は大半が高度経済成長期に整備され、全国で年間2万件以上の漏水や破損が発生するなど経年劣化の影響が深刻さを増している。しかし、漏水調査には高い専門性が求められ、昨今の人手不足の中で技術者の確保が地方自治体に悩みに浮上している。
横浜市水道局は膨大な水道管網を検査するため、職員の直接調査と外部委託調査を組み合わせて対応しているが、人手不足の解消に至っておらず。地震など自然災害の影響に備え、調査復旧の迅速化に向けた省力化が不可欠となっていた。