東京大学大学院工学系研究科の辻健教授らのグループは、九州・九重地熱地域において、超臨界地熱の貯留層を世界で初めて三次元的に可視化することに成功した。
超臨界地熱発電は、地球深部に眠る未利用エネルギー資源として注目されている。従来の地熱発電が利用する地熱流体よりもさらに深部に存在する、極めて高温の超臨界流体を活用することで、これまでにない大規模な発電量を実現できる可能性を秘めている。
一方で、深部貯留層までの掘削には膨大な費用がかかるため、掘削前に超臨界地熱の貯留層を可視化し、掘削ターゲットとなる位置や性質を正確に把握する技術が求められてきた。
研究グループは今回、地面に人工的に振動を与えて波の伝わり方を調べる弾性波探査と、新しい手法による自然地震観測データの解析を組み合わせることで、九州・九重地熱地域の深部地熱貯留層を世界で初めて三次元的かつ超高解像度で可視化することに成功した。
その結果、マグマ領域から超臨界流体の分布、流体を閉じ込めるシール層、流体が移動する亀裂帯、シール層の破れ目(透水窓)を通じた流体の上昇経路、そして上昇によって圧力が低下し相変化することに伴う地震活動の発生まで、一連の動態を明らかにした。
また、限られた震源・受振点配置でも地下構造を描き出せる「共通反射面重合法」の手法を拡張し、従来困難とされてきた山岳地帯での深部探査が可能であることも示した。
この成果により、超臨界地熱発電に向けた掘削ターゲットの特定や開発計画の立案が大きく前進すると期待される。
