名古屋大学大学院生命農学研究科 栄養生化学研究分野の北浦靖之助教、下村吉治教授らの研究グループは1月12日、物産フードサイエンス株式会社との共同研究で、1−ケストースによって腸内環境が改善されるしくみを解明したと発表した。

 1−ケストースはタマネギやアスパラガスなどに比較的多く含まれ、砂糖に似た甘みがするが、血糖値に影響を与えず、プレバイオティクス効果(腸内での有用菌増殖効果)を有していると考えられている。また、これまでに、他のプレバイオティクス素材と比べて有用菌に対する選択的増殖効果が高いことがわかっており、アトピー性皮膚炎症状の改善や脂質代謝改善などの作用が示されている。

 今回、研究グループは、1−ケストース摂取による各種腸内細菌数の変化、腸内細菌が産出する短鎖脂肪酸量について詳細に解析を行った。具体的には1−ケストースを0、0.5、1、2.5、5%含む食餌をラットに与え4週間飼育し、体重、摂取量を測定した。そして実験最終日に血液、盲腸内容物を摂取した。

 その結果、体重、摂取量に変化は見られなかったが、盲腸組織重量、盲腸内容物量が5%の1−ケストースを含む食餌群で有意に増加した。特に5%の1−ケストースを含む食餌群ではビフィズス菌が7000倍にも増加した。それに伴い、盲腸内容物中の乳酸、酪酸の量が2.5%以上有意に増加しており、5%の1−ケストースを含む食餌群では乳酸は約5倍、酪酸は約10倍になっていた。また、血中インスリン濃度が2.5%以上1−ケストースを含む食餌群で有意に低下した。これはインスリンの感受性が良くなったことを示している。

 このことから、ケストースが腸内環境を変化させることでインスリン感受性を増大させることが明らかになった。今回の成果によってケストースは肥満に伴うインスリン抵抗性を改善し、高血糖、高脂血症、高血圧を予防する食品成分としての可能性が示されたとしている。

名古屋大学

総合的かつ自主的な判断力を持つ豊かな人間性を有する人材の育成

基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土と、既存の権威にとらわれない自由闊達な学風の上に、真の勇気と知性をもった未来を切り拓く人を育てます。[…]

この記事が気に入ったらおねがいします。

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。