東京医科歯科大学大学院大野京子教授、横井多恵助教のグループは、失明の原因となる病的近視を発症した患者には、小児期に通常の近視と異なる眼底所見が見られることを明らかにし、研究成果を国際科学誌「Ophthalmology」オンライン版に発表した。

 「病的近視」とは、眼球がいびつに変形することで網膜や視神経に障害が起こり失明するもの。メガネなどで矯正しても0.7未満の視力の状態で、失明原因の20%を占めている。だが子どもの近視のうち病的近視に至るものと、通常の近視のまま維持できるものとを判別することは、現段階ではできていなかった。

 今回、研究グループは病的近視による視覚障害患者のうち、15歳までに近視と診断され、成人してから実際に病的近視で失明した19人において、過去に遡り小児期の眼底所見を分析。病的近視発症を予測する所見が小児期に見られないかどうかを調べた。その結果、19人のうち17人、実に80%以上の患者が15歳までに網膜が薄くなり、視神経の周囲が黄色く変色(びまん性萎縮病変)していた。これは矯正で視力を保てる通常の近視では見られない所見だという。

 これら所見により、病的近視で失明に至る患者には、小児期の時点ですでに一般の学童近視と異なる眼底所見の特徴があり、またこの「視神経周囲のびまん性萎縮」が病的近視の発症を知らせる重要なサインであるということが明らかになった。

 本研究成果により、病的近視による失明を起こすリスクの高い近視と、矯正などで良好な視力を維持できる通常の近視とを、早期に特定することができる。近年、子どもの近視が増加傾向にあるが、通常の近視の子どもには「失明するのかもしれない」という不安を取り除くケアを、病的近視を発症するリスクがある子どもについてはその進行を抑制する予防的治療をというように、適切な介入を行うことが可能となるものだ。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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