畿央大学大学院の橋添健也氏(博士後期課程)、信迫悟志教授らの研究チームは、2種類の「運動イメージ」課題を用いて、発達性協調運動症の子どものMI能力を検討。両課題でMI能力の低下を認めたことを明らかにした。
運動イメージ(MI)とは、実際の運動を伴わず、運動を脳内でシミュレーションする認知過程のこと。MIは運動の計画・調整・実行のイメージも含み、これらの点で実際の運動と機能的に同等と考えられている。MI能力は、従来、手の左右識別(HLR)課題を用いて評価されてきたが、両手結合(BC)課題を用いて発達性協調運動症(DCD)児のMI能力を調べた研究はなかった。
HLR課題では、モニター上の多様な角度・向きの手の画像を見て、左手か右手かをMIを用いて判断する。BC課題では、利き手で直線を繰り返し描く、または描きながら他方の手で円を描く、または描きながら頭の中でイメージする。この2種類の課題を6~11歳の子どもに実施し、神経発達症の特性・抑うつ特性とMIとの関連性も検討した。
その結果、DCD児はMIを想起できたが、その能力は低かった。HLR課題では、視覚刺激がDCD児のMI想起の手がかりとなった可能性が示唆された。BC課題では、視覚刺激を用いずにMIを想起することに加え、利き手で反復直線を描きながら、非利き手で円運動を行うイメージをする二重注意課題のため難度が高く、パフォーマンスの低下に影響した可能性も考えられた。
今回の研究結果から、DCD児のMI能力の測定には、DCD特性および注意欠如多動症(ADHD)の不注意特性が強い子どもにはHLR課題、自閉スペクトラム症(ASD)特性が強い子どもにはBC課題を用いることで、高い感度で測定できる可能性が示唆された。
