法政大学、明治大学、宮城大学、東京大学、株式会社メルカリの共同研究グループは、これまで、「poimo(ポイモ)」と呼ばれる、軽量で多様な形状が可能な風船構造のパーソナルモビリティを開発してきた。今回、その乗車スタイルに適するクッション型のやわらかいコントローラ(操縦装置)と、安定乗車が可能なソファ型モビリティの実用化に向けた試作機を開発した。

 電動キックボードや自動搬送ロボット、デザイン性に優れた電動車椅子など、超小型のパーソナルモビリティが注目されている。各地で実証実験が進み、多様な交通手段の一つとして法的にも認められつつある。一方、乗り心地の良さ・安全性・収納性・ユーザーの嗜好に合わせたカスタマイズ性などに改善の余地がある。

 今回開発した最新poimoは、安定した4輪付きソファ型で誰でも簡単に乗れる。丈夫な布地(ドロップスティッチ布)で作られた風船構造の軽量板を5枚重ねて幅広の構造を実現。また、電動車椅子用の駆動モジュールを用い、可搬重量や登坂性能、走行時間を改善した。

 さらに、直感的な操縦性を求め、柔軟材料によるセンシング技術によるクッション型コントローラを開発。クッションの両端を同時に握ると直進、左右どちらかを握るとそれぞれ左右に旋回できる。クッションはネックピローとして首を預け、頭を傾けた方に車体を動かす使い方も可能だ。

 東京ポートシティ竹芝と鹿島スタジアムで試乗会を実施したところ、幅広い年齢層(約200名)により操作の容易性が実証された。ハウステンボスでの走行実験では、凹凸のある不整地路面でも快適に走行できた。今後、さらに操作性・信頼性・安全性などの向上を図るとしている。

論文情報:【ACM SIGGRAPH 2022 Emerging Technologies】Demonstrating poimo as Inflatable, Inclusive Mobility Devices with a Soft Input Interface

大学ジャーナルオンライン編集部

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