明治大学は、川端康成や三島由紀夫ら数多くの文豪が宿泊した山の上ホテル(東京都千代田区神田駿河台)を取得した。現在の外観を維持したまま必要な改修工事を施したうえで、休館中のホテル業務を再開し、学生支援や地域連携にも利用できるようにする。

 明治大学によると、山の上ホテルの取得は2031年の明治大学創立150周年記念事業の一環。改修のうえでホテルを再開するとともに、明治大学の新シンボルとして活用する方針。

 山の上ホテルは鉄筋コンクリート地下2階、地上6階建ての本館と地下2階、地上7階の別館で構成されていた。このうち、本館は福岡県出身の石炭商で明治大学OBの佐藤慶太郎氏の寄付を基に戦前の1937年、米国人建築家ウイリアム・ヴォーリズ氏が設計して建てられた。当初は生活困窮者救済を目指す大日本生活協会の本部だったが、戦時中は旧海軍、戦後はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に接収され、返還後の1954年からホテルとして開業した。

 丘の上に建つアール・デコ様式の幾何学模様の玄関が印象的で、神田に多くの出版社があったことなどから、創業時から作家の執筆に利用されることが多かった。定宿としていたのは、川端康成、三島由紀夫、池波正太郎、檀一雄らで、ロビーで原稿待ちの編集者が待ち構えるのが日常風景になっていた。

参考:【明治大学】明治大学が山の上ホテルの歴史的建築物を継承

大学ジャーナルオンライン編集部

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