芝浦工業大学の山下光雄シニア教授と株式会社ケー・エフ・シーは、廃太陽光パネルからセレンを含むレアメタルを溶解し、セレン酸還元微生物を用いて世界で初めてセレンの浄化回収再資源化に成功した。

 セレンはレアメタルの一種で、半導体材料や太陽光パネルに広く利用されているが、セレン酸や亜セレン酸には毒性があり、排水基準や土壌汚染に関わる環境基準値が定められており浄化の対象になっている。

 一方、太陽光パネルは2000年以降から徐々に生産販売が拡大されており、自然災害や経年劣化により2030年以降に大量廃棄されると予想されている。ガラスと金属と樹脂などが強く固着された太陽光パネルは煩雑な廃棄物で、さらに化合物系太陽電池にはヒ素、セレン、カドミウムなど有害物質を含み、溶出による浸出水への影響も懸念されている。

 今後、太陽光パネルの排出量が増大していくことから、最終処分場の確保など大きな社会・環境問題となるため、再資源化することにより環境汚染を防ぐ必要がある。

 今回、化合物系太陽電池のうち、セレンを含むCIGS(Cu、In、Ga、Se)系使用済み廃太陽光パネルからCIGSを溶解、中和後にセレン酸還元微生物(S. stutzeri NT-I)と反応させて、セレンの回収再資源化に初めて成功した。

 今後はラボスケールからベンチスケール、最終的にはプラントレベルにスケールアップを行い、廃棄物を単に処理するだけでなく付加価値の高い有価物として回収・再資源化する循環型社会形成を構築することが期待されるとしている。

参考:【芝浦工業大学】世界初、微生物を利用して廃太陽電池からレアメタルの回収に成功〜セレン酸還元微生物を用いて廃太陽光パネルからレアメタル「セレン」の回収再資源化を実現〜

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