全国にある大学病院の経営状態が急速に悪化していることが、全国医学部長病院長会議のまとめで明らかになった。昨今の物価高騰や無理な賃上げが響き、2024年度の経常損失額は全国81病院で508億円。このままでは国民の命を守る大学病院の機能が損なわれるとして病院側は悲鳴を上げている。

 全国医学部長病院長会議が2025年9月30日に公表した「令和6年度大学病院の経営状況」によると、2024年度の経常損失は42の国立大学病院で286億円、8の公立大学病院で91億円、31の私立大学病院で131億円の合計508億円。全体の経常収支は2022年度まで費用を上回る収益があったが、2023年度に収支が逆転して168億円の損失を出した。2024年度は損失が拡大し、前年度の3倍以上に膨れている。

 2024年度の主な支出項目を2022年度と比較すると、光熱水費は8.5%少なかったが、医薬品費が14.4%、診療材料費が14.1%、委託費が11.4%、給与費が7.0%増えた。経常収益自体は毎年少しずつ伸びているが、それを上回るペースで費用の増加があり、経常損失の拡大を引き起こしている。

 赤字となったのは、42大学病院のうち30病院、8公立大学病院のうち7病院、31私立大学病院のうち20病院に上る。耐用年数を過ぎた医療機器や画像診断機器の使用を続けるなど多くの病院が経費抑制に努めているが、とても追いつかない状況だという。

 大学病院は臓器移植の約8割を引き受けるなど地域の高度医療を担い、国民の命を守る最後の砦。現場からはこのままでは今の医療を維持できないとの声が出ており、全国医学部長病院長会議は厚生労働、文部科学の両省に緊急の財政支援を訴えている。

参考:【全国医学部長病院長会議】「令和6年度大学病院の経営状況」を公表しました。(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。