東京大学大学院の岩坪威特任教授、筑波大学附属病院の新井哲明教授らのグループは、抗アミロイド抗体薬を処方可能な認知症関連の専門医を対象にウェブアンケート調査を実施し、新薬診療の最初の1年間の実態や治療上の課題などについて調査を行った。
アルツハイマー病に対する疾患修飾薬としてレカネマブ、ドナネマブといった新薬(抗アミロイド抗体薬)が登場し、2023年12月からレカネマブは国内で臨床実用されている。抗アミロイド抗体薬の安全・適正な使用には多くの事前検査を行い、各種要件を満たした施設・医師による投与が重要だ。しかし条件を満たす施設・医師や治療枠の数は十分とはいえない。
研究グループは今回、アルツハイマー病治療薬実用化1年時点(アンケートを実施した2025年1月の時点)で、全国の認知症関連専門医を対象にウェブアンケート調査を実施し、レカネマブ投与経験のある専門医311名の回答を集計した。
その結果、初診から初回点滴までの待機期間は、約8割が「3か月以内」と回答し、一定のアクセスが確保されている傾向が示された。安全面では、特異的な副作用(ARIA)による治療中止症例を経験したことがある専門医は非常に少なく、実臨床での安全性はおおむね良好と認識されていると考えられた。
また、外来点滴スペースや人員体制等治療提供の運用上の課題、診断・説明・リスク評価に資する一部検査運用に関する課題、さらに医療機関間の連携やアルツハイマー病と新薬に関する普及・啓発の課題が回答で示された。
今回の研究によって今後のアルツハイマー病新薬治療のより安全・適正・持続可能な提供への施策のための基礎的資料となることが期待できるとしている。

