東京農工大学大学院、筑波大学、富山県立大学の研究グループは、一度も使われたことのない合成オーキシン系除草剤に、水田雑草タイヌビエが抵抗性を示す仕組みを解明した。
除草剤抵抗性雑草の中でも、作用機構の異なる複数の除草剤に同時に抵抗性を示す「多剤抵抗性雑草」の拡大が深刻化している。研究グループによる水田雑草タイヌビエの研究から、酵素「シトクロムP450」による除草剤の解毒が要因の一つと判明している。しかし、従来の除草剤とは性質・化学構造が大きく異なる合成オーキシン系除草剤に対する同酵素による抵抗性については不明だった。
研究は、米国カリフォルニア州で見つかった除草剤抵抗性タイヌビエを用いて行われた。このタイヌビエでは除草剤の分解に関わるシトクロムP450に属する2種類の酵素(CYP81A12とCYP81A21)が過剰に作られていることが分かっていた。今回、このタイヌビエが、これまで使用されたことのない合成オーキシン系除草剤に対しても抵抗性を示すことを明らかにした。
これは、過去に使用された別の除草剤への適応によって獲得した分解能力が、将来導入される新しい除草剤も分解しうることを示す。さらに、分子動力学シミュレーションなどにより、これらの酵素が多様な化学構造をもつ除草剤を認識・分解できる仕組みの一端を明らかにした。
カリフォルニア州のタイヌビエと同じ仕組みで複数の除草剤に抵抗性を獲得したタイヌビエが日本でも見つかっている。今回の研究成果は、国内で拡大しつつある抵抗性雑草の診断や防除、さらには抵抗性発生リスクを事前評価できる技術の開発や、分解による無効化の影響を受けにくい新規除草剤の設計への応用が期待されるとしている。
