私は『AERA』、『週刊朝日』、『週刊ダイヤモンド』、『サンデー毎日』などの週刊誌や教育関連のムック、WEBメディアの『現代ビジネス』などに教育関連の記事を書いてきました。そして今年7月15日には、『東大理三の世界 日本一の天才集団にみた謎すぎる生態』(ダイヤモンド社刊)を上梓しました。
以下では、今回の取材で理三合格者から伺った話を中心に、これまで全国のさまざまな大学に合格した数百名から伺った話も加え、彼らの受験心得を紹介します。
教育ジャーナリスト 庄村敦子
まずは、基本的なアドバイスを
『東大理三の世界』の構成は、1章が『東大理三とは何か』、2章が『東大理三のキャンパスライフ』、3章が『東大理三の恋愛・結婚事情』、4章が『東大理三の人生ドラマ』、5章『東大理三に入るには?』です。ここではまず、5章に出てくるアンケート結果を抜粋します(学年は取材当時のもの。回答は一部修正してあります)。
「並大抵の努力で行けるところではないからこそ、合格までの過程で得られるものはとても大きいと思います。受験のときの学力そのものが人生に及ぼす影響こそ少ないものの、その過程で学び取れる自己管理能力や、タスク設定の力は、大学合格後にも役立つはずです」(1年女子)
「受験勉強が退屈に感じられることがあるとは思いますが、大学に入ればできること、触れ合える人は格段に増えます。楽しみにしながら、諦めず頑張ってください」(2年男子)
「毎年賢い子がどんどん受けてくるので、現役で受かろうと心がけることが大事」(卒業生)
「継続して努力できることが大事だと思うので、日々、努力のレベルを少しずつ上げていくと、成果がより大きく積み上がっていくと思います!」(卒業生)
続いて、東京大学医学部医学科生有志による『医学部本2026』に掲載された受験生へのメッセージも紹介します。
「人生の一大イベントだと思って楽しむとともに、死に物狂いで頑張ってください」
「基本、勉強は『量』につきると思います」
「人によって必要な勉強時間は異なるので、競争も大事だが周りに惑わされず、自分のペースを守るべし」
「入ってみると思ったより努力で合格した人が多いと感じました。自分の可能性を信じて頑張ってください」
「努力が報われるとは限らないが、努力をしなければ報われない」
「努力も大事だけど、努力できる環境作りも大事です」
「受験勉強を超える苦しさは医学科での勉強にはないです。今を乗り切れば天国です」
「夏ダブルE判定でも現役合格できます」
以上からお分かりのように、 受験勉強は学力をつけるだけではなく、目標達成のために、いつ何をすべきかなどを考えて計画を立てる力、継続して努力を続ける力など、生きていくのに必要な大事な力を鍛えることができるようです。思うように勉強が進まなかったり、気持ちが沈んだりするときには、これらのメッセージを読んで、モチベーションをあげてみるのもいいと思います。
■時代とともに見る合格校の推移■
1962年:都立高校(戸山・小石川・日比谷・新宿・両国・西)が上位を占め。公立伝統校が圧倒的な強さを誇った時代。
最新:国立(筑駒)・私立中高一貫校(桜蔭・灘・ラ・サール等)へのシフトが顕著
受験勉強で心がけたこと、工夫したこと
次に、アンケート結果から、「受験勉強で心がけたこと、工夫したこと」を紹介します。
「つまずいたときには、中学受験の内容からやり直す」(卒業生)
「間違ったところを納得するまで考える」(6年男子)
「本質を理解して、暗記量を削減する」(卒業生)
「難しい内容、難しい問題へと進んでいくのではなく、今の段階の問題集をきっちり完成させてから進んでいくこと」(2年男子)
「習得しているものは繰り返さない。問題集の数は少なくして、1冊1冊を完璧にする」(卒業生)
「睡眠時間や休憩時間をしっかりとる」(卒業生)
多くの受験生は問題集に取り組む際、少しでも難しいものをやりたくなるかもしれません。でも、できない問題を何度も繰り返し、きっちりと完成させてから次の段階へ進むことが大事です。このことは、理三合格者だけではなく、志望大学合格者への長年の取材でも、数え切れないくらい聞きました。
つまずいたときには、思い切ってその場所に戻ることも大切です。また、丸暗記は忘れてしまうこともありますが、理解することを第一にしていれば、忘れていた答えを、考えて導き出すことも可能です。
戦略も大切。過去問を繰り返し解き、時間配分を考える
「過去問をたくさん解くといい」「本番力を何かしらで鍛えた方がいい」「傾向と対策が大事」といった回答も多数ありました。
入試問題の特徴、難易度、配点などは大学によって異なります。志望校を決めるときには、入試問題との相性も重要です。また秋以降は、志望校の過去問をひたすら解き、時間配分を考える訓練も必要なことを、これまでの合格者の多くが語ってくれました。
受験には、計画や戦略も大切です。
「長期的な目標設定に加えて、短期的な目標を設定すること。模試で実践を積むこと」(卒業生)
「見直し、時間配分の徹底」(1年男子)
「自分なりに苦手分野をあぶり出して、それに基づいて戦略を練る」(卒業生)
「得意科目にレバレッジをかけること。努力!」(卒業生)
「数学の細かい計算は比較的苦手だったため、安定した点数が見込める英語と理科を最後まで手を抜かずに頑張りました」(卒業生)
模試で、第一志望の合格可能性の判定が悪いときは弱気になるかもしれません。しかし、ずっとその大学の過去問を解き続けて来たのなら、初志貫徹する方が良い結果が出やすいようです。志望を下げると心の中に油断が生まれるし、その大学の過去問を解く時間が第一志望の大学よりも少なくなるからです。
高3生は、最後の模試のあとにもぐんぐん成績が伸びます。だからなおさら、初志貫徹した方が合格可能性は高まる。学校や塾の先生の意見も聞いて、受験校を決めることが大切のようです。


