千葉大学、ストックホルム大学、田園調布学園大学の研究チームは、日本の自閉症当事者を対象にした大規模調査により、自閉症当事者が家庭・学校・職場で受ける否定的な経験の構造を初めて明らかにした。

 日常生活での自閉症当事者へのさりげない差別的言動「マイクロアグレッション」の影響が懸念されている。マイクロアグレッション研究は従来欧米が中心で、調和・相互依存重視型の日本の文化的文脈での解明は十分ではなかった。

 そこで研究チームは、精神科医に自閉症と診断されたことのある日本人成人330人(18~39歳)に質的調査(経験や価値観などを重視した、言葉や観察データによる研究)を実施。その結果、305人がマイクロアグレッションを経験したと回答し、自身の自閉症に関連する288 件のエピソードを共有した。

 エピソードは次の4つの主要なテーマに集約された。①自閉症が「劣っている」と扱われる一方、公表すると「天才的な並外れた能力」を期待されるという周囲の矛盾した態度により、当人の立ち位置が揺れ動くこと。②「自閉症」という言葉が、日常会話やSNSで劣等性の比喩や象徴として使われること。③家庭・学校・職場・医療現場でさえ自閉症の困難が軽視され支援が不十分なため、安心できる場所がないこと。④「空気を読む」などの社会的圧力により自閉症的特性の隠蔽(社会的カモフラージュ)を強いられること。

 これにより今後は、社会の側が自閉症的なコミュニケーションや感性を尊重するように変化する必要があるという。今回の研究成果が当事者の高い精神疾患リスクを低減し、真にインクルーシブで肯定的な社会環境の構築に重要な指針となることが期待されるとしている。

論文情報:【Autism in Adulthood】Lived Experiences of Ableist Microaggressions Among Japanese Autistic Adults

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