2026年2月16日、日本女子大学(東京都文京区)は、目白キャンパス内の百年館高層棟エントランスをリニューアルし、同日にお披露目会を開催した。
百年館高層棟は各種研究部門や事務機能など、法人と大学の中枢を担う部署が多数入居する建物である。そのエントランスは大学の正面玄関ともいえる重要な空間であり、定期的なローテーションによる家具の入れ替えの時期を迎えていた。
そこで2024年4月の建築デザイン学部創設を記念して、卒業生で建築家の妹島和世特別招聘教授を審査委員長に迎え「百年館高層棟エントランス デザインアイデアコンペティション」を開催。エントランスのデザインと、そこに配置する家具の制作アイデアを募った。
全11作品の応募の中から1位に選ばれたのは、家政学部住居学科(建築デザイン学部の前身)4年の苅部珠子さん、武富零央さんによる「潮流の場~滞留と対流~」。エントランスを、水が岩にぶつかって流れを変え、「滞留」と「対流」を生み出す「潮流の場」としてプランニングし、「座る」と「立つ」の2つの滞在の形を設けるため、身体寸法に合わせて3種類の家具をデザイン・設計し、計13点を点在させた。
二人は妹島特別招聘教授の指導のもと、約1年をかけて試作と検討を重ねながら提案の具体化を進めた。完成にあたって「意匠としての希望と強度など実務的に求められる要件をすり合わせていく経験はこれまでになく、とても興味深く大きな学びとなった」、「自分たちの提案が当初のイメージにできる限り近い形で実現できた。提案を実物化する機会は得難い経験」とコメントしている。
妹島特別招聘教授は「完成した家具が配置されたエントランス空間を目にし、滞留と対流という考え方がこの場所にふさわしいものだと、改めて実感しました。それぞれの家具はいろんな使い方に合わせて移動がしやすいため、並べ方によってエントランス空間が大きく変わります。『この場所にどのような空間をつくっていくのか』を学生たち自身が感じ、考えられる家具になっているのではないでしょうか。これからどのように使われていくのか、とても楽しみです」と語り、設計した二人には今後もものづくりに励んでほしいとエールを送った。
また、卒業生で山口木材工芸株式会社代表取締役社長の山口千絵子氏もアドバイザーとしてコンペティションに参画し、学生たちの家具制作を支えた。「最初は段ボールでモックアップを制作し、フォルムをつかむところから始まりました。そこから部材や塗装色の選定まで、約1年にわたり武富さん、苅部さんとやり取りを重ねてきました。安全性と堅牢性を常に念頭に置きながら制作を進めてきましたが、お二人の素敵なデザインを生かしたまま、このように形にすることができ、大変うれしく思います」とコメントしている。
