島根大学医学部歯科口腔外科学講座の研究チームは、口腔顎顔面外傷(口や顎、顔面に生じたけが)1,615例を解析し、スポーツ関連顔面外傷の特徴を明らかにした。

 口腔顎顔面外傷は、外見上の問題だけでなく、視覚や咀嚼、発音などの機能障害につながる可能性がある。スポーツ活動においても、ボールや用具、人との接触によって顔面に強い衝撃が加わり、重篤な外傷が生じることがあるが、これまで、競技による顔面の受傷パターンや骨折部位の違いは十分に解明されていなかった。

 本研究では、島根大学医学部附属病院歯科口腔外科/顎顔面外傷センターで約14年間に治療を受けた患者1,615例のデータを解析し、スポーツ関連顔面外傷の特徴を包括的に調べた。

 その結果、スポーツ外傷は若年男性に多く、転倒・転落や交通事故等による外傷とは異なる受傷パターンを示すことが分かった。具体的には、眼窩骨骨折(21.8%)、鼻骨上顎骨複合体骨折(15.9%)、頬骨・頬骨弓骨折(5.0%)、鼻眼窩篩骨(NOE:Naso-Orbito-Ethmoid)骨折(2.9%)が起こりやすいことが示された。

 競技別の比較では、野球が特徴的な外傷パターンを示した。野球では、硬球による強く凝集したエネルギーが顔面の局所に集中するため、比較的強度の高い下顎骨骨体部でも骨折が生じる(4.7%)ほか、眼窩骨骨折(29.2%)、上顎骨骨折(7.5%)、NOE骨折(5.7%)も生じやすいことが明らかになった。

 本研究により、スポーツでは顎や眼、鼻の周囲など、重篤な機能障害につながる部位で骨折リスクが高いことが定量的に示された。この知見は、防護具の着用や安全対策、教育の重要性を裏付ける科学的根拠となり、選手の安全を確保したスポーツ活動の推進に貢献すると期待される。

論文情報:【Craniomaxillofacial Trauma & Reconstruction】An Exploratory Study on Injury Patterns and Clinical Characteristics of Sports-Related Oral and Maxillofacial Trauma: A Single-Center Retrospective Study

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