宮崎大学医学部の研究グループは、新世代睡眠薬であるデュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)レンボレキサントによる悪夢のリスク因子を世界で初めて明らかにした。
精神疾患患者には不眠が多く、不眠の持続は精神症状などへの影響が大きい。従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬には、依存性や転倒リスク、筋弛緩などの問題があり、近年登場し使用が増加しているDORAには、そのようなリスクは少ないが、REM睡眠の増加に伴う悪夢のために中断が生じることがある。悪夢は症状の悪化に関連するとされ、臨床現場ではそのリスク因子の解明が急務だった。
研究グループは、2020年1月から2024年9月までに宮崎大学医学部附属病院精神科でDORAの1つであるレンボレキサントを処方された精神科患者327名を対象に、悪夢による中止率とそのリスク因子を後方視的に解析した。
その結果、悪夢発現率は8.0%で、市販後調査の報告(1.76%)の約4.5倍に相当し、精神科臨床の現場では想定以上に悪夢が多くみられる実態が示された。また、「若年層(10~29歳)」「タンドスピロン併用」「ベンゾジアゼピン系からの切り替え」の3因子が悪夢の独立したリスク因子と確認、注意が必要な患者像を示す実践的な知見を得た。一方、50歳以上の患者ではレンボレキサントによる悪夢の発現が少なく、高齢者でも比較的安全に使用できる睡眠薬であることが示唆された。
先行研究ではDORAスボレキサントでも若年層で悪夢が多いと報告されており、若年層での悪夢リスクはオレキシン受容体拮抗薬の共通特性である可能性が示唆された。今回の研究成果はDORA全体の安全管理に活用できる知見であり、今後は大規模多施設の前向き研究による検証が期待されるとしている。
