妊娠がわかったときの気持ちが子どもの発達と関連する可能性を、東京科学大学、青森県立保健大学、富山大学の研究グループが全国調査で明らかにした。
望まない、あるいは予期しない妊娠は、母親の精神的健康だけでなく、母子関係や子どもの発達にも負の影響を及ぼす可能性が指摘されている。しかし、妊娠に対する気持ちが実際に子どもの発達とどのように関連するのかについては、これまで十分に明らかになっていなかった。
そこで本研究グループは、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に参加した73,518組の母子を対象に、妊娠が判明した時点での気持ちと子どもの3歳時の発達の関連を検討した。さらに、母親へのソーシャルサポートは、母親自身のメンタルヘルスを改善するとともに、子どもの発達を促進する保護因子としても機能することから、その媒介効果についてもあわせて検討した。
妊娠判明時の気持ちは、「とてもうれしかった」が49,395人(67.2%)、「予想外だったがうれしかった」が17,899人(24.3%)、「予想外でとまどった」が4,704人(6.4%)、「困った」が358人(0.5%)、「特に何とも思わなかった」が344人(0.5%)、「その他」が818人(1.1%)だった。
解析の結果、「とてもうれしかった」以外の気持ちだった場合には、3歳時に保護者の自己報告による発達の遅れが疑われる割合が高いことがわかった。特に、「特に何とも思わなかった」と回答した母親の子どもでは、発達の遅れが疑われるリスクが最も高かった。
また、ソーシャルサポートは、妊娠判明時の気持ちと子どもの発達との関連を媒介し、周囲からの支えがその関連を弱める方向に働くことが示唆された。
本研究により、明確なネガティブ感情だけでなく、無関心あるいは感情が顕在化していない状態にある母親についても、支援の対象として留意する必要があることが示された。さらに、ソーシャルサポートは、母親自身のメンタルヘルスの改善を通じて、子どもの発達に好影響を及ぼす可能性も示唆された。
今後は、妊娠判明時の気持ちを手がかりに支援が必要な対象を早期に把握し、適切なソーシャルサポートにつなげていくことが重要だとしている。
